クライアントにとって価値ある仕事とはどんな仕事
皆様は仕事をしていく中でどうせならクライアント、社内に感謝されたい、評価されたいと思う事があるかと思います。自分のやった仕事が評価されて社内外で自分に指名が掛かるなんて事があれば仕事をしていて最も生きがいを感じる瞬間なのではないでしょうか?
しかしそこまでの仕事はそう簡単に出来るものでもないですし、自分としてはかなりホスピタリティを持って仕事にあたっているけど思った以上の評価が得られないと悩む方もいらっしゃると思います。
本記事では実際に自分や周りが新卒から若手の時に口酸っぱく言われてきたこと、そして一度は異動したものの、クライアントから指名が掛かって異動先から戻ってきた経験のあるサラリーマン20年選手の方に聞いたお話を元に、クライアントに感動してもらう仕事とは何か?どうやったら感動する仕事が出来るのか?をお話していきます。
無形商材の会社だからこその商材の価値を創出する
まずは自分や周りのメンバーが口酸っぱく言われてきたことです。私は元々デジタルマーケティングの会社に所属していました。デジタルマーケティングはWEB上で広告や媒体、SNS等を使い、お客様の商材をプロモーション、宣伝する仕事です。仕事内容はプランニングから施策実行、効果検証、報告。時には一緒に売れる商品を考えたりする商品開発にまで多岐に渡りました。僕らはいわばWEB商材の代理店。WEBのマーケティング企業なんてごまんとある時代、勢いのあるベンチャーから大手まで今やWEBに取り組まない会社はほとんど無いと言っていいほど僕らの業界は活発化していましたが競争の激しい時代でした。
デジタルマーケティングなんて格好良く言いますが僕らはいわばWEB広告の代理店。他社だって同じ商材を扱っていますからどうやって競合優位性を保つのが正解なのか常に悩んで仕事をしていく状態でした。当時の僕は他よりパフォーマンス高く出す事に注力しており、シミュレーションの段階から寸分狂わぬ計画を出すことを心がけ、常にクライアントのプロモーションにとっていい物があれば即提案。そのスタンスで成果も上がっていきそれなりの評価をクライアント先から得られるようになりました。
しかしながら転機は突然訪れました。クライアントの1社が他社にリプレイスされてしまったのです。※リプレイス:他社に案件を取られてしまう事。
正直その時はショックで何が何だか分からず、会社を当時辞めようかとも考えました。自分はこんなにためになる提案をしているのに何故リプレイスされるのだろうか?全く分かりませんでした。そんな時当時上長だった先輩から言われた言葉が自分を変えてくれました。
「仕事において結果を出すのは当たり前。大事なのはそこにいかに自分がいるからこその価値を感じてもらう事が大事なんじゃないかな?」
リプレイスされてから会社からフォローとしてその先輩の仕事を横についてしばらく見せてもらう日が続きました。先輩は成果としてのパフォーマンスは飛びぬけて良いという訳では無いのにクライアントからしょっちゅう連絡が来て、定期的な商談の場では趣味の話等でも盛り上がり関係性が見るからにいい事がうかがえました。その時思ったのは
自分が商談しているクライアントより圧倒的に笑顔が多い
という事。なぜここまで関係性が良いのかは普段の業務の中に答えがありました。先輩は普段から毎日プロモーションの成果についてメールで報告していました。良い事も悪い事も包み隠さず報告し、悪い要因があれば電話ですぐに連携。代替え案もスピーディにその場で提示していたのです。それは全て
お客様に安心して仕事を任せてもらいたいから
に尽きるそうです。デジタルマーケティングは目に見えないもの。だからクライアントはどうなっているのか心配です。安心できるために何が必要か?それを常に考えてみた結果この方法に行きついたそうです。正直僕らはレポートだって定期的に送っています。でもそれをクライアントが見て説明無しで100%理解できるって自分たちの価値観から生まれていたエゴなんですよね。自分の業界の常識を他業界に無意識に当てはめていた事が自分の敗因だったのだと痛感しました。
価値とは目に見えないものです。人が価値を感じるのは自分が良いと思ったタイミングでしか感じません。それは自分がいくらここまでやっている、頑張っているからと言って必ずしも相手に伝わっているかは分からないのです。相手が何を思っているか考える。それ自体はありふれた言葉ですが、それが独り歩きしないようにするのが一番大切な事だったのです。
相手の事を好きになるまで没頭するから生まれた仕事
次は20年間サラリーマンをしている方から実際の体験談と実際にやっていた事をお話します。
その方は総合商社に営業として勤めていましたが。ある日会社の会社の方針転換で異動となり畑違いの部署に行くことになりました。これまで10年以上に渡りお付き合いしてきたクライアントは別の人に引継ぎをする事になりました。非常に悔やまれながらも引継ぎを終わり、無事異動をしたのですがすぐに呼び戻されることになります。理由はクライアントからの指名。その人じゃないと取引したくないとの事でした。商社はメーカーから商品を仕入れ、クライアントに供給するのが仕事です。規模が大きくなればクライアント先に投資等も行い、事業拡大のパートナーとして総合的なサポートも行います。
何故クライアントから指名がかかったのか?何をしたのか?それはクライアントの事を好きになるまで没頭して取り組んだに他ならないそうです。具体的にはクライアントに必要だと思った情報を常時アンテナを張ってインプット。提案以外にも積極的なコミュニケーションを取っていたそうです。よく顧客とコミュニケーションを密に取ると言いますが、密に取るのはあくまで業務にまつわる認識のすり合わせだったり、提案に付随したものになりがちだったりします。しかし信頼関係はそれだけでは築ききれないのが現実だったそうです。
正直正確に納期を守ったり、良い提案をするのはどこの代理店も当たり前に行っている事であり質の優劣は多少あれどあまり差別化できなく、何より印象に残らない。というのが現実です。クライアントから「この人はあんな事してくれたな~」と思い出に残る営業じゃないと意味が無い。そう思ってクライアントに向き合ったそうです。
実際にやったことと言いますととにかくクライアントの事を調べまくったそうです。それも提案前に調べるのではなく、取引が続いている間ずっと、毎週、頻度が多い時は毎日だそうです。しかも単に社名検索で会社のホームページを見るだけではなく業界のキーワードはそのまま全部検索していました。競合他社の事、新しいプレスリリース、IR情報、ニュース等あらゆる角度から調べ、それを話題に盛り込んだそうです。時にはSNSでも検索して一般の方からの投稿にも何か話題になるものが無いかチェックしていたとの事。気が付いたら自分の目線はクライアントと同じ位置にいて、クライアントより情報感度が高くなっていたそうです。
自分からクライアントの業界情報を連携するようになってからは信頼関係が非常に強固になり、他社が営業に来たこともまず相談したりあらかじめブロックして頂けるようになったそうです。クライアントと業界人として近い同じ目線で話せるようになった時、初めて本当のパートナーシップが生まれたと考えられます。
まとめ:結局共通するのは・・・
紹介した2つの事象。一見別々の体験に聞こえますが、実は本質の部分では共通しています。それは
- 相手が何を欲しているか考えて行動する。※相手目線
- 相手の事に興味を持つ
の2つです。クライアントの担当者の特徴、正確、会社の体質。これらを把握してどんな連携をしたら、どんな情報なら担当者は向こうの社内で気持ちよく動けるのか?それの追求に限ると思います。仕事においての相手の事を考えるというのは実生活で相手を考える事と何ら変わりません。大切な友人や親、兄弟、恋人等にしてあげようと思う事を仕事に当てはめた時に、自分は何が出来るのかを考えるとイメージしやすいのではないでしょうか?
仕事の場がリモート等距離が空いたとしても、いつまでも相手の事を思う姿勢は変えずに居たいものです。